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LIVING好きなことや趣味に重きをおいた、こだわりの空間
2017-10-05

元カッシーナ・インテリアデザイナーが作る
モダンな繋がりのあるリノベ空間

インテリアデザイナー、プロデューサー
守 真史(モリ マサシ)さん

インテリアカンパニー「カッシーナ」のVMDとしてキャリアを積み、現在はフリーランスのインテリアデザイナーとして活躍する守さん。空間からインテリアまで総合的なプロデュースを生業にする傍ら、仕事ではできないような実験的なアイデアとプロのテクニックが見事に融合された夢の住まいを見せていただきました。

――内装と家具のプロである守さんが、この家を選んだ理由を教えて下さい。

そもそもリノベーション前提で考えていたので、中古の広い部屋を探していました。その方が安価に理想の家を作られるというのが本音ですね。たまたま最初に内見に来た家がここで、かなり古かったのですがルーフバルコニーの広さですぐに決めました。マンションなのに庭のようなスペースでもあり、娘の遊び場にもなりますから。探し始めてすぐに気に入った家を見つけられたのがラッキーでしたね。

――なるほど。物件を決めた後の内装工事の流れなんかも聞かせいただければ。

僕らの場合は自分たちで設計することができたので、施工の部分をネンゴさんという会社にお願いしています。図面も設計事務所に勤めるぼくの奥さんが描きました。

――リノベーションを進める際、予想外のことなどはありましたか?

もちろんありますよ。そこがリノベーションの面白さでもあるし怖さでもあります。まずスケルトンにするため一度壁を剥がします。そのプロセスでどこに何を置くかとかレイアウト面が具体的になっていきます。そのように進行していくにつれ、徐々に想定外なことが出てくるわけで。この家で言えば、構造上どうしても壊せない壁があり、もともと風呂場だったスペースを効率的に使うためトイレにしています。そういったことは、どうしても工事を始めてからわかってくることなんです。

――想定外はある意味でリノベーションの醍醐味かもしれませんね。

そうですね。想定外なことが起こるというのはあらかじめ理解していたので、その中でどうするかを考えるのも楽しみでしたね。入り口の方から紹介していくと、入ってすぐの廊下を有効活用しています。廊下って結構無駄なスペースだと思うので、壁に「ヴィツゥ」のシェルフを付けることで仕事場にしちゃいました。リビングとの間にレールのドアを取り付けることで、家族がいるときもリビングと廊下を区切ることができます。普段は開けて、仕事の時は閉じて。そういった意味ではかなり汎用性の高い廊下になっていると思います。

――玄関すぐの廊下スペースを仕事場にするという発想は面白いですね。

スペースの有効活用には結構気を使っています。笑 シェルフの反対側にあるスライドドアを開けるとこっちも仕事場になっています。こちらは実際に手を動かす工房的な役割を担っていますね。革小物を作るためのミシンは、奥さんから独立祝いとしてプレゼントして頂きました。

――リビングは廊下も開放すると本当に広々とした空間になりますね。

大前提として大きなワンルームっぽくしたかったんですよ。この家は2部屋を穿通しているので、廊下も開けているとかなり広い部屋として認識できます。とはいえ区切りを与えたいときもあるので、リビングの真ん中にはパーテーションを置いたり、ラグを変えたりして2つの居心地を作っています。

――手前は食事を楽しむダイニング、奥はテレビなどを見てくつろぐスペースという感じですね。

そうですね。キッチンの近さやベッドルームの近さで良い点を活かしています。手前のスペースのダイニングテーブルはコルビジェのもので、120センチに160センチという縦横比が特徴なんです。面積の割にすごく広く感じるのもポイントですね。詰めれば8人でテーブルを囲むこともできるんです。足も中の方に入っているので、角に座っても足が当たらないんです。照明はネモのシャンデリア。モダンなデザインが気に入っています。カッシーナでも短い期間取り扱いがあったので、その時に購入していたものですね。椅子はオフィスでも使われることの多いアニエスというブランドで、メッシュ素材なので夏場でも使いやすいんです。

――キッチンは微妙に違う素材で組まれていますね。

そうなんです。キッチン自体はサンワカンパニーのものですが、この木材の樹脂は微妙に違うもので、壁はすごく薄い石材を使っています。やはり仕事になるとどうしても安全なデザインを求められるので、自分の家で実験してみたかったんです。いろんな素材を組み合わせたくて、せめて自分の家では普段できないようなデザインにしてみようかなと。異素材でありながらも、色のトーンが近いのでうまくまとまっていると思いますよ。冷蔵庫の側面が見えないようにサイズにあった壁を作っているのも結構珍しいデザインです。

――リビングの奥のスペースは手前と違って色彩豊かですね。

この壁は最近塗り替えたんですが、気分的に派手な色遊びをしたかったんです。
色として嫌煙されがちな、紫は中間色で意外と使い勝手がいいんです。ソファーカバーをターコイズグリーンにして色のコントラストを楽しんでいます。フィリップスタルクの大きな鏡は、フレームもミラーになっているので、かなり大きな印象を与えますね。時計と間接照明は黄金比のバランスで右上に配置しています。インテリアは結構モダンなデザインなものが多いですね。

インテリア・アクセサリーデザイナーでもある守さんのデザインバッグ。異素材を掛け合わせた高いデザイン性でありながら、上品な色味と質感で気品溢れるプロダクトに。玄関の靴箱には一つ一つに自身のデッサンが描かれえいる。細かなところにまで守さんのセンスが散りばめられている。

――ベッドルームの壁もかなり珍しく感じます。

ベッドルームとリビングの仕切りには、格子柄のルーバーを採用しています。見た目もかなり気に入っているのですが、光と風を通すので機能的にも重宝されます。リビングのクーラーも直接当たることなく柔らかく風が入ってくるので、寒いのが苦手な方にもオススメかもしれません。

――全体を通して思ったのは、仕切りがありながらも全ての部屋が繋がっていると感じました。

そうですね。全ての部屋に完全な壁を作るのではなく仕切りながらも繋がりを感じられるように工夫していますね。できるだけ面積を有効に使いたかったので、2LDKという言葉で表現するには少し難しいかもしれません。特殊な間取りはこの家のスペースを最大限有効活用した結果と言えますね。

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