Howscope

LIVING好きなことや趣味に重きをおいた、こだわりの空間
2017-04-17

人をつなげる自由空間。

カジュアルバー カーボン
ディレクター
大道寺誠彦(ダイドウジ マサヒコ)

東京は渋谷。世界中から多くの人を惹きつけてやまないこの街で、一際多くの飲み屋が立ち並ぶエリアである道玄坂。今回は日本屈指の超人気スポットに佇むカジュアルバー「カーボン」を取材します。お店にはファッション、美容、音楽といったクリエイティブを生業にするお客さんが多く集まります。道玄坂という激戦区において、多くのファンを抱えることの難しさや面白さを余すことなく聞いてきました。そのミソとなるのがお店創り、そして空間演出というわけです。

――渋谷道玄坂という激戦区にオープンすることに抵抗はありませんでしたか?

大もとの会社がイベント事業を得意としていたし、クラブが近くにあるというのは自分たちにとってはむしろ好都合でした。また、売り上げ的に見たら道玄坂の下の方がいいのですが、上の方がお店のブランディングとしては逆に価値があるかなと。ここまで登らないとたどり着けない。でもそれが目的となるお店。さらに道玄坂の一番上の方といえば、池尻大橋や三軒茶屋に住む人にとっては帰り道で、ここのお客さんのほとんどの人にとっても都合のいい場所だったんです。

――様々な背景からして、この場所こそ理想だったということですね

もちろんオープンしてすぐの頃は口コミだけを頼りにしていたし、場所がわかりにくかったりと一見さんの獲得には時間がかかりました。だからこそ一度来てくれたお客さんがファンになってくれるよう、お店作りにはかなりこだわっていますよ。

――なるほど。では教えられる範囲でいいのでお店作りの施策を教えてください

まず精神論でいうと人見知りしないスタッフが多いということです。(笑) ひたすらお客さんと距離を詰めるのが得意だし、お客さん同士をつなげることを大切にしています。ファッションや音楽に精通するお客さんが多いので、互いにメリットになる情報を交換したり、飲み友達から仕事が生まれたりもすればなぁと。

――コミュニケーションベースで成り立つお店なんですね

そうですね。コミュニケーションするための場所というのがここの軸にあります。もちろんスタッフの性格だけでそれを唱っているわけではありません。例えばスピーカーは天井に吊るすだけではなく、上と下に散らしています。アンプもミドルの中音を抜くことで会話がしやすくしているんですよ。噛み砕いて説明すると、ヴォーカルの音を抜いてるというか。人の会話が通りやすいよう、上下の位置と音質でお客さんの会話を邪魔しないための配慮をしているんです。

――内装についてはいかがでしょうか。

もともとここは居抜き物件だったんです。それにはじめは予算がなくて、自分達にできるとこは自分達でやる、その上でいかに安くカッコよく作れるかっていうのをコンセプトに始めたんです。一番はじめに決めたのはフェンス。僕たちはストリートカルチャーが好きなので、一個のストリートの表現として店内にフェンスを取り入れています。あとはいつとか関係なく、色んなアーティストがグラフィティを施してくれて進化し続けているのもストリートのスタンスなのかなと。それと、店名でもあるカーボン(原子記号の炭素)を連想させるグレーの壁。重厚感がありすぎると会話が沈むから、目線の高さなど要所要所でオレンジを配しています。全体的なインスピレーションの元となっているのは、シカゴやシアトル、ポートランドなどのインダストリアル系のデザインです。

――その辺りはコーヒーのサードウェーブの発祥地ですし、洒落たお店が多いですもんね。

そうですね、実を言うと僕も10数年前からコーヒーをやっていて、バーではなくカフェ出身なんです。カフェ文化を辿っていくと、シアトルやオーストラリアだったり色々出てくるんです。でも、サードウェーブとして注目を浴びるずっと前から、キッチンと畑の中間にある工場を感じるお店が好きで、結果的にポートランドやシアトル、シカゴのインダストリアルな雰囲気のお店からインスパイアされています。

――テーブルや椅子、ロッカーなんかも抜群にマッチしていますね

テーブルは、様々な木屑で構成されたOSBボードを使用しています。それだけだとネジが入らないので下に板を挟んで、表面には防水スプレーを塗っています。椅子は学校用のLION社の本物です。それにステンシルでカーボンの頭文字であるCのマークをペイントしています。ロッカーはアスクルのモノで、お客さんが好きなようにステッカーを貼っていくうちにいい感じのディスプレイとして変身しました。(笑) 床もウッドに見えますが、これは木目調のラバー素材を張っています。ドリンクをこぼしたりすると吸ってゆがんでしまうので。どれもいい感じに経年変化してきていますね。

――オープン当時から大きく変わったところはありますか?

内装面でいうと、あとから作った個室ですかね。前のお店ではダーツのスペースでしたが、ここに壁を作ってドアをはめ込んで。ちなみにこのドアにもOSBボードを使用しています。壁には知り合いのアーティストにグラフィックを施してもらいました。ドアの開閉で絵が見えるようになっています。また、照明も低予算で作ったアイデアものです。バー=シャンデリアみたいなイメージが僕の中にあって、でもそれだと少し悪っぽすぎるというか。なので、テーブルで使うようなクリップライトを木の棒に6つ取り付けて、シャンデリアのようなデザインに仕上げました。

――アイデア作品ですね! 個室もそうですが、全体的に照明にもこだわりが見られますね

そうなんです。僕はコイルライトが好きで、ラウンジにはエジソンが初めに作ったと言われているエジソン球を使用しています。これは少し高額なんですが、30~40ワットの柔らかな光が特徴ですね。バーにしては明るいし、カフェにしては少し暗い。だからこそ僕らはカーボンをカジュアルバーと謳っています。

――では最後に、他にもこだわりがあれば教えてください

あとは食事ですかね! うちは夜でも定食が食べられるのがいいかなと。自家製の手ごねハンバーグなんかがオススメです。お酒を飲むお店はご飯を手抜きするところが多いと思いますが、うちはご飯もしっかりしたいなと。今なら季節限定のおでんメニューをやっていたりもしますよ。もしタイミングがあえば、飲食と会話を楽しむ空間としてカーボンに遊びに来てくださいね。

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