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2017-02-10

キニナル、あの人。 vol.1「家族の思い出が形として残るものが家具」
家具リペア職人 奥原 健太郎さん 後編

SAHRE on

長年使ってきた家具を、修理し生まれ変わらせるリペア職人。前回のインタビューで、自らの仕事を家具にとっての「お医者さん」だと語ってくれた奥原さん。今回は、日本と欧米の家具に対する向き合い方の違い、そしてリペアに対する情熱を伺いました。

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家具に痛みが出ても、また直して使えるようにするリペア職人

――今までの修理で印象に残っているものはありますか?

歴史があるものを修理することがあります。
先日も、昔の中国の100年くらい使われている唐木の棚を修理したのですが、代々大切に受け継がれ、使われてきたものなので、歴史を感じて厳かな気持ちになりました。

――それだけ歴史があるものは、修理作業も複雑ですよね

古いものだと桐箪笥は50年〜70年、場合によっては100年近いものを「洗い直し」といって、もう一度きれいに洗い、削って、新品同様にして生まれ変わらせる作業もおこないます。
これは、本当にキレイに生まれ変わります。
長年使うと桐も黒くなる。それがひと皮剥けてキレイになるんです。
仕上がる瞬間は、自分たちでも感無量になりますね。

――お写真を拝見するとすごいですね!まさにリノベーション!

いい材料というのは価値が高く、何十年も使えるものなので、傷みが出たら捨てるのではなく、また直して使うことができる。
それこそが、我々がいる理由ですね。

家具のリペア職人は家族の思いを継承していくお手伝いをする仕事。

――リペアに向いている家具の種類のようなものはあるのですか?

北欧系の家具で、オイルで仕上げているものは修理しやすく、より使いこんだ味が出るので、修理でさらにカッコよく仕上がりますね。

――そもそも北欧系の家具は、長く使うことを想定していたりするのですか?

ヨーロッパは、建築物もそうですが、特に長く使うことを重要視する傾向があると思いますね。
日本の場合は、ウレタン塗装が多いんです。
対して欧米はラッカーとかオイル仕上げが多い。基本的に剥がして、塗り直しやすい塗料を使っています。

――そこに大きな違いがあるんですね

日本のウレタン塗料というのは、
一度作ったらそれが完成形で、それを剥がして塗ることを想定していないんです。
国内の一般的な家具はほぼウレタンです。
一方、ラッカーなどはシンナーで簡単に磨いて取れます。

――他には日本と欧米の違いみたいなのはありますか?

日本は、家具で床に傷がつくことを嫌がる方が多いので、テーブルや椅子の脚の底にフェルトなどを貼ることで傷みを少なくしたりしますね。
欧米では、床やテーブルはどんどん傷がつくけれど、それを自分でメンテナンスする文化があるんです。
日本の場合は、新しいままの状態を維持したいというのがニーズとして結構あって、例えばテーブルは傷防止のビニールマットでカバーするということが多いですよね。

――欧米は手入れして使うことが前提なんですかね?

そうですね。だから材料もいいものを使っていたり、長く使える材料を使っていたりしています。
家具ってやっぱり家族なんですよね。

――前回のインタビューでもおっしゃっていましたよね

一緒に暮らしているものなので、何年か経って捨てるのは違うと思うんです。
長く、一緒に成長していくのが家具ですから、やっぱりいいものをメンテナンスしながら、
家族と一緒に成長してもらえる暮らしをオススメしたいですね。

――思いがそこに詰まっていると

家族の思い出とか、記憶が形として残るものが家具だと思います。
だから愛着が湧くのだと。
そういう大切なものを修理させていただくことの光栄さを、私たちもすごく感じています。

――それこそが仕事のやりがい?

それだけ大切なものを、もう一度元気にして世に出せる喜びを感じて、それを生きがいにしていますね。
私たちは、そういう人間の集まりです。

家具という存在は、ただの品物ではなく、家族の思い出の一部。さらに言えば、家族の一員となる存在だと、今回のインタビューで学ぶことができました。
良いものを長く大切に使っていくこと、それが家族の絆へと変わっていくことでしょう。家具のリペア職人は、そんな大切な家具を預かり、家族の思いを継承していくお手伝いをする仕事なのです。

プロフィール

IDC工房 奥原健太郎
都内のホテルへ入社。調理や、木製品を中心としたホテル内の修繕・装飾製作に携わる。その中で木製家具に興味を持ち、オーダー家具製作所へ入社。
6年間、塗装業務を中心に木製家具のノウハウを学び、2015年5月大塚家具入社。

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