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2018-01-23

スライスピザの第一線。
本場顔負けの味と空間、代官山「ピッツァ スライス」

SAHRE on

PIZZA SLICE(ピッツァ スライス)
オーナー
猿丸浩基(サルマルヒロキ)さん

2012年東京・代官山に突如として現れ、スライス売りという当時では珍しい手法と本場ニューヨークの人気飲食店顔負けの空間演出で一躍人気店となった「ピッツァ スライス」。現在は2015年にオープンした青山店との2店舗を展開。感度の高い人々に支えられ、今では東京を代表する人気スポットへと進化を遂げた同店の魅力を伺った。

――ピザの味はもちろん、内装も魅力の一つだと思います。どういった経緯で完成したのかを教えて下さい。

おっしゃる通り、このお店の魅力の一つはお店自体だと思います。ほとんどの人はこのお店を見てニューヨークっぽい、感想を抱くかと思います。でも実はニューヨークにもスタイリッシュな飲食店はそう多くはありません。特にピザ屋なんて全然綺麗じゃないし、いわゆるイケてるお店ってわけでもないんです。そこで、めちゃめちゃスタイリッシュなピザ屋があってもいいんじゃないか、と。実際にこのお店のインスピレーションソースとなったのは、僕がニューヨークで修行していた頃に見た高級レストラン。本当にお金持ちのヒップスターのような人々がタマっていて、内装も空気感もすごくイケてたんです。そのハイエンドなお店の内装と、どこでも食べられるアメリカのソウルフードのピザという要素を掛け合わせて作ったのが「PIZZA SLICE」です。

――外国の方もお客さんに多いのはそういった理由もあるんですね。

日本人にとっても外国人にとっても新鮮だと思います。内装はホワイトの壁とタイルを基調にクリーンな印象を出しつつ、インダストリアルなエントランスとウッディなインテリアをベースに味を出しています。ミラーやブラックボードには僕と一緒にお店を経営する相方がペイントを施し、店内のいたるところでニューヨークのカルチャーも感じることができます。

――他にないスタイルをやることは想像以上に難しいことだと思います。

もちろん最初は全然お客さんが来なくて大変な思いもしました。ですが、あるときフォトグラファーや編集者の方から撮影場所として貸してほしいと相談されるようになり、ファッションの好きな層にアプローチできる。そういった狙いもあって、お店を撮影場所として提供しはじめました。これが口コミを呼びモデルやライターなどの雑誌関係者に広まりました。彼らがSNSにアップしたPIZZA SLICEの画像や雑誌を見て、新規のお客さんがお店に訪れてくれるようになったんです。

――そもそもピザ屋をやろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

幼い頃からとにかくピザが好きだったんです。そもそもは母親のアメリカンカルチャー好きがきっかけでした。小さい頃からよく家でアメリカのコミックやアニメの『タートルズ』なんかを見て育ったんです。なぜかアメリカのストーリーにはやたらとピザが出てきて。とくに記憶に残ったのが映画『ホームアローン』に出てくる少年、ケビン・マカリスターが自分でピザを頼んでいるシーンですね。8歳の少年があんな贅沢なピザを一人で食べているのを見て、同じことをしたいと思ったんです(笑)。 それで小学校3年生くらいの頃から、自分でピザを頼んで食べるようになっていました。おばあちゃんが払ってくれるのもわかっていたので(笑)。その頃は”スライス売り”なんて知りませんでしたが、中学校の頃ハワイに行ったときに初めて食べたんです。日本にはなぜないのだろう、あったらいいのになって純粋に思ったんですよね。

――若い頃から柔軟な発想を持っていたんですね。

純粋だったんです(笑)。それで中学の頃から“夢ノート”みたいのを作って、漠然と思いついた将来像を書き続けていたんです。もちろん、ピザ屋だけでなく色んなことを書き記していたのですが。時が経った頃にはピザのことなんて忘れていて、25歳になった時にふと幼い頃の記憶を思い出して。子供の頃の夢ってすごくピュアだし、本当に自分がやりたいことはそこにあるんじゃないかって。それで、スライス売りのピザ屋を日本に作りたいって思ったんですよね。とりあえずピザを作れるようになろうと思い、2年くらい自分の身を削って修行しにニューヨークに行ったんですよ。

――純粋な思いがゆえに行動も早かったんですね。とはいえ単身で渡米は困難も多かったのでは?

とりあえずはじめはアメリカに滞在するために”学生VISA”を取得しました。実際ほとんど学校は行っていませんでしたが(笑)。それでピザを食べ歩く日々が始まり、気に入ったところを見つけては働かせてほしいと手紙を書いたりして。でもほとんどのお店は日本人だからという理由で全然相手にしてもらえなくて。あるとき、たまたま向こうで知り合った人がピザアクロバット(ピザ回しなどのパフォーマンス)のチャンピオンを紹介してくれたんです。それで、彼が経営するピザ屋に足を運び、修行したいとお願いすると『給料は出さないけど、べつにお店にいるのはいいよ』って言われて(笑)。

――過酷ですね(笑)。

それでもようやく掴んだチャンスだったので二つ返事で働くことにしました。もちろんピザは作らせてもらえず、毎日お店に行って掃除だけしていました。とにかく毎日毎日それを繰り返していたら、少しずつお店に立つメキシカンも僕がお店で働いていることに慣れてきて、冗談で『お前触ってみろよ』みたいに言ってくれるようになりました。でも、僕はひそかに練習していたのではじめから作れたんです。しっかりしたレストランだったら品質にもすごくこだわるのですが、スタンドだったから僕が作っても誰も気づかなかったんですよね(笑)。それで、彼らも『働くのめんどくさいから、猿丸作っといて~』みたいになってきて(笑)。僕的にはもう修行できるから嬉しくてしょうがなかったんです。オーナーもだんだんとアドバイスをくれるようになり、次第に上達していきましたね。

――そうして培ったピザ作りの技術がベースとなっているんですね。

もちろんそれはあくまでベースです。向こうにいた頃、ピザ屋で働きながらイベントをやっていたんです。僕が好きなのはピザとサブカルチャー。アートと音楽とそこでピザを振る舞うというイベントで、ジャンルレスに面白いものが好きな人々が集まっていたんですよ。そうして出会った人にはデザイナーやモデルもいれば、商社マンや金融マンまで。ニューヨークでは誰がやってるとかそういうのどうでもよくて、面白いところにはどんなビッグネームの人でも普通に足を運んでくれるんです。今では向こうで知り合った人たちも日本に来た際はお店に来てくれたりしますね。僕はピザ作りだけでなく、ニューヨークでたくさんのことを学びましたね。他の人がやらないことをしたり、他人と違う生き方をすることの面白さ。向こうでは他と同じことをするよりそうでない方が人に評価してもらえる。そうして多くの人との繋がりが得ることができたのも今では大きな財産となっていますね。

同店が提供するピザは、ニューヨークらしさ溢れる薄めのクラシックなスライス。ピザだけでなく、ピザ生地にガーリックやパルメザンチーズなどを練り込んだガーリックノットや、その他ビールに合うアペタイザーなどもメニューに並ぶ。メニューは全部で8種類。チーズスライス、ペパロニスライス、イタリアンソーセージ、マッシュルームスライス、ハラペーニョスライス、ガーリックノットが6種類が定番で、Today’s スライスとしてホームメイドミートボールスライスやベジタブルミックススライスなどなど、猿丸氏の気分で様々なメニューがラインナップする。

INFORMATION

PIZZA SLICE
住所:東京都渋谷区猿楽町1-3
電話:03-5428-5166
時間:11:30~23:00
URL:www.pizzaslice.co

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