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2017-09-19

日本人に受け継がれる様式美「間」の魅力。
サカクラカツミさんインタビュー後編

SAHRE on

サカクラカツミ
1963年生まれ。日本の伝統文化の持つ独自性をエンターテイメントパフォーマンスとして表現するORIENTARYTHMを主宰する。生のパフォーマンスとプロジェクターからの映像をシンクロさせたパフォーマンススタイル「プロジェクションライブ」は、世界で高く評価され現在までに39ヵ国から招聘されパフォーマンスを行い、18ヵ国のTV番組に出演。また「世界に伝えたい日本のカッコ良さ」と題し国内外での講演活動も行っている。

投影された映像とシンクロしたパフォーマンスの先駆けとして知られ、日本のみならず世界を舞台に活躍するサカクラカツミさんに聞く「日本のカッコ良さ」。最終回となる今回は、日本の様式美「間」についての話を中心に、今後の活動について伺った。

――日本人の欧米に対する憧れは、住まいについても同じことが言えると思います。しかし、日本の伝統的な住まいも美しいですよね。

先日、仕事で京都に行ったのですが、オリエンタリズムのメンバーであるEikoが京都出身だったので、地元の人間が思う「ザ・京都」に連れていってくれと頼んだら、先斗町(ぽんとちょう)というところを案内してくれたんです。そこが素晴らしかったですね。

――どんな場所なのでしょうか?

いわゆる「花街」と呼ばれるエリアで、細い路地に飲食店が立ち並んでいるんです。その光景が、単なるノスタルジックではなく、純粋に美しいんです。


サカクラカツミFacebookページより

木製の格子状の窓や、朱色の引き戸など、これぞ日本のカッコよさだなと思いました。現代のデザイナーが、この美しさを取り入れてデザインをしてくれれば、日本の風景にもマッチするし、それこそ海外から見てもクールだと感じてもらえるんじゃないかなと思います。

――日本好きな外国の方は、伝統的な日本のスタイルに憧れるというのは良く聞きますね。

日本のデザインの中には、脈々と受け継がれてきた「間」という様式美があるんです。ロンドンに住んでいる時に、本場のガーデニングに触れる機会が多々あったのですが、イギリスの人は少しでも空いている場所を見つけたら「埋める」ことを考えます。例えば小さな花や陶器置物などを置くんです。
ところが、日本の場合は枯山水を代表するように「引く」ことを大切にしています。可能な限り引いて、そこに生まれた空間=間で、様々な表現を行うんです。ガーデニングのような、豪華絢爛もそれはそれで美しい。だけど、枯山水を見ると、ジーンと心に響いて、思わず会話が止まるんです。内なる自分との対話が始まる感じですね。

――確かに、その感覚は日本人ならよくわかるところですね。

会話、物の配置、人の並び方など、全てにおいて日本人は「間」を大切にします。例えば伝統的な日本家屋にある「縁側」。あれも、いきなり家にあがるのではなく、家と外との間にひとつの「間」を設けた様式美のひとつではないかと思います。

――自分たちにも気づかぬ、日本らしさがあるということですね。

「間」の存在の大切さに気づいてからは、自分のパフォーマンスにも積極的に取り入れています。意識をしてからのパフォーマンスは、実際に海外でも驚くほど高い評価をいただいています。

――パフォーマンスの映像も、非常にシンプルですよね。

2004年頃から、映像を使ったパフォーマンスを始めたのですが、自分で映像を作っていて、当時はまだ技術もあまり無かったので、赤い輪や黒い筆文字のようなシンプルなものからはじめたんです。その後、もっと色々できるのではないかと、CG作家の方と組むこともしたのですが、日本らしさを考えた時に、映像はもっとシンプルで、色数も少なく、より想像を掻き立てるもののであるべきじゃないかと気づいたんです。
それまでは波といえば北斎の絵のようにリアルなものを考えていたのが、線1本でも表現できるのではないかと考えるようになり、今では線を使う以外では、丸、四角、三角といった実にシンプルなシェイプのみを使い、色数も赤・黒・白の3色にこだわっています。

――まさに水墨画のような世界観ですよね。色が少ない分、それぞれが思う色が見えてくると。

そうですね。映像はあくまでもパフォーマンスの要素の1つなので、後は自分たちの身体をいかに使うかですね。映画が大好きで、映画のような迫力を取り入れたいと思ってはじめた、2Dだけど3Dのように見えるギミックなど、これからも進化を続けていきます。

――さらに日本のカッコよさを追求していきたいということですね。

前回もお話した日本人の誰しもが持つ「惻隠」の心というのを、日本人自体に気づいて欲しいと思っています。パフォーマンスだけでは中々伝えきれないところもあるので、講演活動もしながら、自国の文化がいかにカッコよいのかを知ってもらうことを続けていきます。そして、2020年の東京オリンピックが来る時には、日本から世界に向かい、本当のクールジャパンを発信できればいいなと思っています。

(取材・文 黒宮丈治)

■「サカクラカツミ」オフィシャルWEBサイト
http://orientarhythm.com/
■世界に伝えたい Cool Japan | サカクラ カツミ | TEDxTokyo
https://www.youtube.com/watch?v=MmqKDMfM6hU

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