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2017-09-08

銀座のバーに学ぶ、勝負の瞬間を演出する、特別な空間の作り方

SAHRE on

カウンター(横ワイド想定)

Cocktail KARIN / Cocktail 15番地 オーナー
斎藤都斗武(サイトウ ツトム)

銀座。そこは誰もが認める最高峰の土地、いくつもの伝説のバーやバーテンダーがひしめく日本トップの繁華街。今回は銀座にあるホテルバー「KARIN」オーナーの斎藤都斗武さんにお話をうかがう。
人を癒やし、自分と向き合い、時には勝負の瞬間を演出してくれる大人の場所、バー。特別な空間をつくっている思いやこだわりなど、バーが奏でるストーリーに耳を傾けた。

きっかけは、マティーニ。

映画の題名のようなタイトルだが、斎藤さんがバーテンダーを志したきっかけは一杯のマティーニだ。大学生だった斎藤青年は、彼女と京都を訪れる。高級なホテル、大人のバー。最高のシチュエーションでカクテルを注文した時のこと、「バーテンダーがめちゃくちゃカッコよかったんです。そして、衝撃的においしいマティーニだったんですよ。こんなカクテルをつくる人になりたいと思ったんです。」

青年特有のまっすぐさで、バーテンダーになることを決心。この時から彼の夢が走り出す。大学を卒業すると、日本バーテンダースクールの門を叩く。元来器用だった為か、天性の才能か、頭角を現し卒業と同時に当時のバーテンダー協会会長の店で働く栄誉を獲得。場所は銀座、伝説のバー『スミノフ』の名バーテンダー岩瀬氏に師事することに。

「夢のようなチャンス、あり得ないほどの幸運」だったという。
あこがれの銀座のバーテンダーに、スタートからなることが叶ったのだ。その後独立し「cocktail 15番地」を銀座にオープン、その後ホテル16階に「Cocktail KARIN」もオープンする。「むいていたのかな?」いたずらっぽく笑う紳士の顔には、照れながらも確かな自信がある男の魅力があった。

ちなみに、きっかけのマティーニを共に楽しんだ当時の彼女は今、大切な奥様になっているそうだ。
おいしいお酒は時に、人の人生を決定する力を持つ。

マティーニ
一番のオススメはやはりマティーニだった

音楽とお酒のおいしい関係

修行したバーに音楽はなかった。それは「お客さまの会話こそが音楽」との信念があった為だったそう。自分の店をオープンした時から、斎藤さんは音楽を流してきた、それもジャズに限り。こんな話をしてくれた。
「ジャズは会話のすき間を埋めてくれるんです。しかも自然でスマートに。特にウイスキーをゆっくり飲む時に格別合います。心と向き合うような旋律など、やっぱりジャズだと思うんです。」
なるほど、そうきくとロックグラスに氷があたる軽やかな音が、ジャズの合いの手に感じるほどマッチして響いてくるから不思議だ。
「バーはお客さまにとことんくつろいでもらう場所です。ひとりでいらしても、複数でいらしても、みなさんに心地の良い空間を提供したいと思っています。ジャズという要素は落ち着いたくつろげる空間づくりの手助けをしてくれます。」

ウィークデーにはジャズの生演奏ライブを行っているKARIN。会話の間をスマートに流れるホンモノの音楽を味わえる。五感をフルに使いながらゆっくり癒やされていく。

jazzライブ
グラスを傾けながらきく生の音は格別だ

木が真ん中にある空間の安心感

KARINに入ってすぐに目をひくのは、店を左右に堂々と横切る大きなカウンターだ。迫力ある存在感を放つこのカウンター、樹齢600年以上という花梨の木でできている。オーナーの斎藤さん自ら木場に何度も赴き、探した末に出会ったのだとか。店名のKARINはこのカウンターに由来する。お客さまに向いている断面は、木の質感を残した自然な曲線や隆起を残した仕上げになっているのも味がある。

年数を重ねた木だけが醸し出せる重厚感が、店内を心地良く漂っている。なぜだか安心感に包まれるのは、木がある空間ならではだろうか。木への思いをたずねると、「木には、他の材質にはない、安心させる何かがあると信じているんです。無機質ではなく、人をそっとやさしく包むような、そんな何かが。色々なことがある日常ですから、このお店ではふっと安心してもらいたい。そういう思いを込めています。」

カウンターへのこだわりは、素材だけに留まらない。「椅子に座った時、バーテンダーと目線が同じくらいになること、そして肘を置いてごく自然にくつろげる高さに腕がくるようにしています。ここではできる限りくつろいでほしいんです。」くつろぎの空間を提供する工夫は、目線の高さや腕の置き場にまでおよんでいた。

マティーニ
どっしりとしたカウンターで過ごす至福の時

空間の仕上げ要素は「人」

おいしいお酒のコツについてきいてみた。「レシピを基本にしたり、磨いた技術で提供するのは大前提。」としながら「お客さまの好みに合わせ、その方だけに味を少し調整するんです。それこそが本当においしいお酒やカクテルになります。」と教えてくれた。自分を覚えてくれる、そして好みの味を分かってくれている。バーとの素敵な関係がうまれ、お店とのつながりはますます深まる。本物のバーテンダーの仕事というものを知った。

「いいバーをつくるのは、最後は人間です。気遣いや心遣いが、人と人が触れ合う本当にくつろげる空間を仕上げる一番大切な要素です。だからこそバーテンダーという仕事は面白いんです。」と語ってくれた。ここで学び、巣立っていく人間はもうすぐ6人になるそう。

銀座にはじまった斎藤さんとバーのストーリーは、この先も次の世代へ紡ぎつがれていきそうだ。

店名ロゴプレート

エントランスを飾るロゴがおしゃれな時間を予感させる

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