BB9T6578
2017-09-05

中目黒のインテリアショップオーナーに聞く!
アートを活かす意外なコツとは?

SAHRE on

new territory(ニューテリトリー)オーナー
井藤 邦雄(イトウ クニオ)さん

中目黒の駅から目黒川沿いを少し入ったところに、なぜかのぞいてみたくなるような惹かれるお店がある。入り口から中をうかがえば、店内ぎっしり詰まったさまざまな「モノ」たちにまるで宝箱のようなイメージを受ける。何かに出会えそうな、不思議なオーラが漂うこのお店は井藤さんが営むインテリア雑貨屋さん。アンティークを中心に個性的で存在感のあるアイテムが揃うお店のこと、井藤さん独自の目線で語られる人生やインテリアのお話をうかがう。

それは、音楽の感度が高い街ではじまった

井藤さんの職歴は20代の頃、雑貨屋さんでバイトしたことから始まる。
「原宿の雑貨屋でバイトしていて、その延長でお店を引き継いで自分でやるようになったんです。88年くらいだったかな、若い人たちをターゲットにしたチープな雑貨を売っていましたね。」
1980年代後半、バブルの真っただ中。しかし、20代前半の若者には、バブルの恩恵はあまりなかったそう。
「20代の前半でバブルがきたって、あんまり関係ないじゃないですか。何が儲かっているかなんて、全然わかってなかったんですよね(笑)。」
その頃の原宿は、音楽シーンではそれまでのパンクに代わってヒップホップやハウスが始まった頃だったそう。
「音楽的なものとのつながりが強かったと思うんです、街自体が。原宿は特にティーンエイジャーが多くて、流行に敏感で洋服に関しても音楽の影響を色濃く受けていた。それまで一番だったヴィヴィアン・ウエストウッドから、徐々にヒップホップ系のブランドが流行ってきていました。」
井藤さんのお店も、そんな流行を敏感につかみ、音楽シーンとリンクするような品を輸入する。
「『パブリック・エナミー』がしていたチェーンだとか、時計だったり、それに似たようなものをアメリカから輸入して売っていたりだとか、トラックスーツも売っていました。その時流行っている音楽が、グッズにも大きく影響を与えていたんですよね。」


何かに出会えそうな予感がしてしまう店の入り口

カッコよさとか、なりゆきとかで次に進んでいる。

雑貨屋さんだった井藤さんがアンティークのインテリア雑貨店を開くことになる経緯には、もう少し井藤さんのスタイルを掘り下げてみる必要がありそうだ。
原宿の雑貨屋を経て、渋谷に「東京堂」という雑貨屋をオープン。そこも生活雑貨、ファッション小物、など全部含めた若い子が好きなものがあふれているようなお店だったそう。その後、サングラスや眼鏡を扱うお店も開くことに。
「友達がインポーターとか、ファッションデザインを生業にしている友人が多く、みんながやっている仕事が格好良く見えたんです。同い年くらいが活躍していて、自分も何か格好良いことをやりたいと思っていたんですね。いいなあと思っていて。そんな時、東京にそういえばサングラス屋がないなと思い、はじめたんです。でも、実は、アメリカとかヨーロッパを行き来するような仕事をしたかっただけ(笑)。それだけです。サングラスのおかげで、アメリカだけではなく、ヨーロッパに行くようになった。結局ですね、スタイルから入ることが多いんですよ。見栄とかっこよさだけで、次をスタートすることが多いですね。」


ジャンルも年代も超えたモノが所狭しと陳列されている

どうして、アンティークのインテリア雑貨店をはじめたのか?いつかやりたいと目標を持ち、海外に買い付けに行く際、コツコツと集めていたのか?と質問したところ、快活な否定の言葉が。
「まったく、まーったく思ってなかったですね。好きで集めていたものが多くなりすぎて、これは売らなきゃどうしようもない!と思ってはじめたんです(笑)。」
なんとも、気持ちのいいくらい気負いがなく、その時の状況で仕事にしてしまう。飄々と柔軟に生きていく井藤さんに好感を覚えた。
集めていくのが好きで、でも時代とかテイストとか基本的にこだわりはなくて、面白ければなんでも買っていたんですね、そうすると、こういう風に(店内のカオスな陳列を指しつつ)なっちゃうんです(笑)。」


謎めいた怪しげなアイテムもみつかる

「新しくて高い」。そんな収集競争、あんまり楽しくなさそう。

ジャンルにとらわれないアンティークな品を収集するのが好き。その結果モノがあふれてお店を開くことになった井藤さん。収集に関する、井藤さん”イズム”を聞いてみた。
「一般的に男子が商売やビジネスがうまくいって買うのって、洋服にお金かけて、腕時計買って、車買って、家を買って、アート買って、はいゴール。っていう順番みたいなのがあると思うんですね。自分は、時計と車もそんなに興味がなくて。だって時計と車は、新品でいいもの買いはじめると、もう、新しくて高いもの競争になってしまう。その競争、あんまり楽しくないなと思っていたんです。」
その考えには、バブル期の成功者たちの姿が根本にあるという。
「バブルの頃、成功している人のほぼ全員がSL(ベンツ)に乗っていた。洋服にはこだわるのに、なんで車は一緒なんだろう?と思っていました。時計もみんなロレックスだったし。お金の価値がはっきりしているものだし、選ぶ楽しみがないような気がしてしまったんですね。そんな気持ちでアンティークのジャンクなものばかり買っていたら、ジャンクはジャンクなりに、まとまるとひとつのものになるんだなと、今は思っています。くだらなくて、使い道のないものが多いんですけどね。」


集めていたら結果こうなっていた。いたずらっぽく笑う井藤さん

自分の家に連れて帰って100%になるような品を探してほしい。

面白く感じたのは、インテリアショップで品物を見て、購入していざ家で使おうとしたら、なんかしっくりこない、なんかイメージが違うというのは、ある意味当たり前だと語ってくれた井藤さんの言葉だ。「だって、いろんなショップで飾られている状態は100%のパフォーマンスで飾られているんです。照明しかり、ディスプレイ方法しかり、スペースしかりです。ね?自分の家に連れて帰るとそりゃあ劣ると思うんですよ。」
だからこそ、ただただ陳列されているこの店で、もっとフラットな感じで選べばいいと提唱する。
「もっと自分の感覚だけで、『お。これいいじゃん!』『これが家にあったらなんか気分上がりそう!』というくらいの感じがいいんです。ここは雑多に置いてあるだけ。だからこそ、ここにあるよりも、自分の家にあれば、この品物が輝いて100%の価値を放つ。そういうようなものを求めていってほしいなあと思うんです。」

価値よりも、自分で気に入っているかどうかがおもしろい。

最後に、店のアイテムの中でもたくさんの点数がある絵画について、インテリアに活かすコツなどはとの問いかけをしてみたところ、
「何も価値がなくても好きなだけの絵の方が面白いかなと僕は思っているんです。下手かうまいかわからないような。自分で気に入ったのがいいんです。
すごく極端なことをいうと、ここにある絵画はほぼ無名の作家の作品。だったら、自分で手を加えることだってできると思いません??そりゃあ、マティスとかバスキアの作品に手を加えるガッツはないですよ(笑)。でも、こういう絵画だからこそ、インテリアの一部として手を入れちゃうのもアリなんじゃないかなと思いますね。『あれ?赤が足りないな。』と感じたら、勇気を持って赤い絵の具をグワッと塗ってしまえばいいんです。そういう楽しみ方ってよくないですか?それこそ個性だと思うんですよね。」
と、井藤さんらしい自由なアドバイスを聞かせてもらった。完成したアート作品に手を加える。それは極端な例として挙げられた話かもしれないが、それくらい自由に自分の感性でやってしまっていいんだよと、井藤さんのフリーな心が教えてくれているような気がした。


無名の絵画こそ、個性的な空間づくりに適したアイテムなのかもしれない


自由で肩肘張らない井藤さんの空気感が店内にも満ちていた

PHOTO GALLERY

SAHRE on

KEYWORDS

RELATED ARTICLE

家のようにくつろげる居心地の良い空間。
生活に「鉄」を取り入れる。鈍色に輝く、時間と思い。
鉄が生み出す新たなるライフスタイル。溶接がつなぐ人と思い
“不完全“が心地良い。obento artistの不思議な住まい。
男子が気になる新スポット!<br />東京にバスケットカルチャーを発信するショップ「TOKYO 23」誕生
airmax_00

RANKING

FEATURE

FOLLOW US最新情報をお届け!

RECOMMEND

TEDxTokyo_2016-18

TEDで称賛された、日本人が持つ「惻隠」の心とは?サカクラカツミさんインタビュー前編