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2017-08-10

表参道で最も使い勝手のいいビストロ?
常連客に愛され続ける名店の秘密とは

SAHRE on

株式会社テイクファイブ
RED PEPPER(レッドペッパー) マネージャー
青山 拓(アオヤマ タク)さん

東京、表参道の交差点。交番のすぐ側にある路地を入ると、パリの街角のような空気感を醸し出す小さなビストロがある。ここは、20年以上の歴史がある「RED PEPPER(レッドペッパー)」。常連客に愛され続け、いつも笑い声や楽しげな会話で満ちる空間の秘密を取材した。

狭いからこそ演出できる雰囲気がある。

「国内に18店舗、海外に7店舗を展開している弊社ですが、はじまりはこのレッドペッパー表参道でした。小さいですが原点にあたる大切な場所で、ファンの多い店です。」
と、話をはじめてくれたのはレッドペッパーの統括マネージャーであり、当店舗のシェフを務める青山さん。


言葉少なげだが、ひとつひとつ丁寧に答えてくれる青山さん。

このお店をはじめて訪れる人は、まずその小ささと賑わいに驚くかもしれない。9坪という狭小スペースにカウンターとテーブル合わせ20席。正面のカウンターはオープンキッチンとなっていて、料理人が手際よく調理をしている。客層は若い方から年配まで幅広く、店内は心がワクワク沸き立つような濃密な期待感で満ちている。9坪にキッチンがあり、小さなお店。けれど、だからこそ演出できる雰囲気があると青山さんは語る。


磨き込まれたグラス。料理に合うワインが出番を待っていた。

「会話がすぐ近くで聞こえ、楽しさが伝播しやすくて、お店全体に一体感がある。この雰囲気はなかなか出せるものではないと思います。また、お客様同士の自然な優しさに支えられているとも感じています。例えば、カウンターもテーブルも隣の方とかなり近く、席を立つ際には椅子を引いて譲りあってくれたりします。料理を提供する時にも、ちょっと体を傾けてくれたり、グラスをよけてくれたりと、楽しみながらも周囲の人を気遣ってくれる。そういった他人同士の心が近くなるような瞬間が常に側にある。毎日そのような場面を目にしてとてもありがたく、温かい気持ちになります。」
確かに、楽しい会話がとても身近にある空間や、人のやさしさがすぐ側にさりげなくある空間は、心地のよいものかもしれない。

スタイリッシュになりすぎず、ぬくもりあるくつろげる空間。

内装にもこだわりがありそうだ。誰もがなつかしく感じる学校の椅子、手作り感のある壁など、ぬくもりを大切にしているような感を受ける店内。スタイリッシュになりすぎず、お客様がくつろげるような空間を心がけているという。
「古いけれど決してよごれていなく清潔で、くつろげる空間作りをと気を配っています。昔の先輩たちは壁も珪藻土を自分達で盛ったり、自作の棚をつけたりと工夫しながら空間にはこだわってきました。空調や水回りなど、業者にしっかり依頼しながらメンテナンスする部分と、居心地よさを手作りで行う部分、ふたつの要素を大事に維持していければと考えています。


珪藻土の質感がやさしいぬくもりを演出している。

守るところと、攻めるところ。

今、コンセプトに掲げているのは「表参道で一番使い勝手のいいビストロ」。さまざまシーンで色々な層のお客様によろこんでいただくことをテーマにとらえている。その背景には、伝統を守る責任感も感じられた。

「歴代の店長やシェフ達が築いてきた雰囲気と味を守ること、それはもう使命だと思っているんです。『ラザニア、フォアグラのソテー、マッシュルームのガーリックオイル焼き』をはじめとした人気の定番メニューはしっかりと味を伝えていきたいと思っています。特にラザニアはメディアに取り上げられることも多く、インスタ映えもするとあって、目当てに来られる方もいます。期待を裏切らず、伝統の味を守りたいと思います。」


不動の人気を誇るラザニア。五感すべてで味わいたくなる存在感。

一方で、守るだけではまだ足りないのだと青山さんは教えてくれる。
「表参道は東京の中でも感度の高い土地。だからこそ、今のトレンドと言いますか世の中の動きにいつも敏感にいたいと思っています。訪日外国人の方も増えている昨今、新しいことにも挑戦していかなければと思うのです。季節の食材、旬の食材の探求はもちろん、よりおいしい食材を自分達で作ることもはじめています、神奈川県三浦の農家さんと提携して、畑を借り、なす・ズッキーニ・トウモロコシ・イタリア野菜などを無農薬で栽培しています。食への関心が高まっている今こそ、自分たちで土を触り収穫した野菜をメニューに取り入れ、自信を持って提供できる食材があるのは、強みになると思っています。


育てる苦労を知り、食材への愛着は更に深まったそう。

100年続くお店でありたい。

守り、攻める。お店やお客様のため、努力を続ける青山さんにこれからのことを伺ってみた。
「このお店は来年2018年に25年という節目を迎えます。まずは私の代で30年。何かで目にしたのですが、30年続く会社というのは、実に0.02%ほどだとの数字があるそうです。まずはしっかり30年を目指したいです。」


ひとつひとつ丁寧に仕込みを続ける。実直な姿勢がこのお店を確かに守っているように感じた。

そして、その先を見据え、青山さんは次のように続けてくれた。
「これはとても大きな目標なのですが、100年。この土地に根付き愛されながら続けていければいいなと願っています。そのためにはこの店の、この会社の伝統といいますか、歴代のスタッフ達みんなに共通していた『人が好きで、喜んでもらうことが何より大好きで、そのことに対する苦労をいとわない気持ち』。そういった、なんていうのでしょうか『レッドペッパーイズム』『テイクファイブイズム』というような、連綿と受け継がれている魂のようなものを、どうやってこの先の世代へ伝えていくか。それこそが私の大きな役割だと思っています。時を超えて、このお店に集う人たちがいつも喜んでもらえる店が続いてくれたら、こんなに幸せなことはありません。

・・・・・・・・

伝統を守り、次の世代へ受け継ぐ。その熱い精神がひしひしと伝ってきた。
表参道に長く店を構える名店の心意気を、確かに感じた取材となった。おいしい料理とやさしい雰囲気にほっこりさせられる、こういうお店がずっと続いていくことを願わずにいられない。

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