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2017-06-07

生活に「鉄」を取り入れる。鈍色に輝く、時間と思い。

SAHRE on

スター電器製造株式会社
代表取締役社長
鈴木 穰(すずき じょう)

住空間の中において、素材としての「鉄」の存在が見直されている。独特の風合いを持ち、加工のしやすさからも、DIYで個人で溶接を行う人が増えているそうだ。業務用だけでなく、家庭用の溶接機の製造・販売も行う、スター電器製造株式会社の鈴木穰氏も、鉄の魅力にとりつかれた人物のひとり。中目黒にオープンした溶接の工房を訪れて、その魅力について伺ってきた。

鉄を生活に取り入れるコツ

――鉄フェチだそうですが、それはお仕事柄としてということですか?

溶接の機械を販売しているのもありますが、仕事に関係なく鉄という素材そのものが大好きです。金属といえば、ステンレスやアルミもあります。それぞれの良さはあるのですが、ダントツに鉄が好きです。

――鉄の魅力とはどういった部分でしょうか?

まず、経年変化するところが魅力です。時間が経つと、錆びてきたり、風合いが変わってきたりしますよね。その“味”みたいなものがたまらないんです。そういった意味では、革も使っていくうちに風合いが出るので好きです。

――以前は鉄の錆びはあまり良いイメージではなかったですよね。

5,6年前までは、特に女性から不人気でしたね。錆びるだけじゃなくて、重たいというネガティブなイメージもありました。しかし、ここ数年で鉄という素材に対しての意識が変わってきたなと思います。

――それはどうしてでしょう?

鉄は、何よりも異素材との相性が良いです。鉄そのものもカッコよくて主役になれるのですが、例えば木材や革と合わせると、その他の素材を邪魔せずに引き立ててくれます。

――リノベーションの現場でも、鉄という存在が急激に見直されている印象はあります。

他の素材を引き立てるという意味では、それぞれの好みを活かしながら、ライフスタイル全般に、風合いを足してくるものになると思いますね。

――上手に鉄を取り入れるコツみたいなものはありますか?

これまでは表札や門扉などエクステリアが中心でしたが、このテーブルのようにメインの天板は木で、それ以外を鉄にすれば、温かい雰囲気も保ちつつ、鉄が持つ重厚感が足せます。こうした取り入れ方は、インテリアでも良いアクセントを出すのに良いと思いますね。

――これは、この工房で作られたものですか?

そうです。鉄は加工がしやすいので、DIYに向いているんですよ 。このお店の内装も、うちのスタッフが基本すべて自分たちで作っています。

――全てハンドメイドなんですね。何かこだわりのようなものはありますか?

あれが足りないなとか、これが欲しいなと思ったら、すぐにスタッフがある材料から作ってくれるんです。こだわりと言えるほどではないのですが、異素材との相性の良さを知ってもらいたいというのがあるので、鉄とそれ以外の素材を組み合わせるようにしています。あとは、波板のように鉄にも色々な素材があるので、それをうまく組み合わせて、鉄の良さを知ってもらいたいというのは意識しているところですね。

鉄こそ、加工しやすい

――鉄は加工しづらいイメージでした!

木工の方が手軽なイメージを持っている人もいますが、例えば鉄は熱すれば柔らかくなるし、曲げることも木材と違って容易に出来ます。叩けば風合いもでるし、それこそ溶接は道具さえ揃えれば、意外に簡単なので、むしろ女性は鉄のDIYがオススメです。

――女性こそ、重たい鉄は無理なんじゃないですか?

工房でワークショップに訪れた女性がハマるケースは多いです。
例えば、この盆栽の鉢は、鉄管のパイプを切ったものを加工したもので、加工自体は意外にも手軽で、多肉植物にもよく合います。存在感も十分で、一度インテリアに取り入れると、鉄にハマることは多いですよ。

――溶接を覚えると、幅が広がるということですか?

DIYの可能性は格段に広がりますね。特に鉄は立体を作る時に、木よりも手早く作り上げられます。こういうものが欲しいと思った時に、すぐに形にするのに鉄は向いているんです。未体験の方は、自分のライフスタイルを鉄で変えていくというのを、ぜひ味わって欲しいなと思いますね。

時間を敢えて使うという考え方


工房で作ることができる鉄製品の一部

――こちらの工房では、初心者向けのワークショップをされているそうですね。どういった方が多いですか?

おかげさまで、オープンして以来、色々な方に来てもらっています。鎌倉に10年前に工房を作って、ここが2号店なんですが、カップルで来られる方もいたり、家族でお子さまと来られる方だったり様々ですね。

――家族でというのはとてもいいですね。

この工房は、時間をたくさん使うための場所にして欲しいと思っています。

――「時間を使う」ですか?

手間と時間を敢えてかけましょうという感じでしょうか。昨今は、時間を短縮することが大事なような風潮があるように思いますが、ここでは敢えて時間を使っていって欲しいなと。
鉄にかかわらずですが、速く安く簡単に手に入ったものは、それこそ簡単に捨ててしまう。ところが自分で時間をかけて作ったものは、思い入れが違いますよね。

――消費の時代と言われる中で、長く大切に使っていくことの大切さですね。

ものづくりはそこがポイントだとも思っています。実際に、工房で家族やカップルで来られる方が、一緒に作ったものを家に置くことで、それを見るたびに一緒に過ごした時間を思い出せるツールになると思うんです。そこからコミュニケーションが生まれたりする。そういうところをひっくるめて、DIYには魅力がありますし、経年変化する鉄は、時の変化を楽しむのにも最適だと思っています。

鉄の良さを拡めたいと語る鈴木さん。工房内のインテリアには、随所にそのこだわりの鉄で出来た数々の品が重厚感とともに存在を光らせる。笑顔で語るその瞳には、時を経ても変わらない鉄への情熱が満ち溢れていた。

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