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2017-06-02

キニナル、あの人。vol.2
「収納の視点で、日常こそ美しく」
インテリアコンサルタント・住空間収納プランナー 鈴木君枝さん 前編

SAHRE on

住にまつわるプロの「ひととなり」に触れる連載。
キニナル、あの人。
第2回は、「suzukuri(すずくり)」の鈴木君枝さんにお話を伺いました。

どんなに美しい部屋でも、モノが片付かないのでは、快適な空間とは言えません。
日々の暮らしの中で出てくるモノの“収納”と、“インテリア”。
その二つをつなぐ仕事で、これまでにたくさんの住まいを手掛けてきた鈴木さん。
モノがあふれる原因を「片付かないのは、間取りにも問題が」と指摘します。

――「インテリアコンサルタント」は、インテリアコーディネーターよりも一歩進んだ立場だと言えばいいのでしょうか?

いえいえ、逆に、お客さまに寄り添うような、身近な仕事なのかなと思っています。
コーディネーターと聞くと、「敷居が高いかな」と感じる方もいらっしゃいますので。
お客さまのお悩みを聞いて、それに対する答えを導き出すというスタンスが、コンサルタントの名前の意図するところです。

――まず相談することから始まるんですね

収納も含めて、インテリア全般をどうすればいいのか。
その方の暮らしやすさ、快適な住まいづくりをコンサルティングしています。

――「住空間収納プランナー」は、2009年にできた資格とお聞きしました

「収納」と聞くと、ご自宅に伺って片付けをするというイメージが強いんですけど。
収納作業のサポートは仕事の一部で、収納のアドバイスや診断をしたり、住まいの間取りや図面からご提案をするのが主になります。
片付かないという根本的な原因には、家の間取りや動線などにも問題があるのだから、ちゃんと見直そうと提案するわけです。

――どんな技能や知識が求められますか?

図面を解読することは、すごく必要になりますね。
間取りの提案の他にも、収納家具の設計やレイアウトの提案なども含まれます。
例えば、テレビボードを設計するとなったら、機器はどういうものが入って、DVDを何枚入れておきたいか、生活動線上必要な機能は何かなど、ヒアリング力が要求されますね。

――かなり深いところにまで踏み込んでいく

衣服のたたみ方ひとつでも、収納設計まで変わってくるんです。
それによって、家具の内寸の幅はどのサイズが最適なのかなどを提案します。
収納の視点で住まいを全部見ていくと、その方の24時間の生活を聞き出すぐらいの感覚ですね。

――そんなに詳しくヒアリングするんですか!

朝起きてから、まず顔を洗うのか、とりあえずキッチンに行くのか。
洗濯物を2階のベランダで干すのか、洗濯機の上で干すのか。
それによって行動動線が変わり、間取りや必要な収納も変わっていきます。

――モノがあふれている家では、処分することを提案しないといけない場合もあるのでは?

私から「捨ててください」と言ったことは、これまで一度もないです。
捨てるという決定権は、私にはありません。
もし捨てられないモノがあるのなら、その場所を作ってあげるのが住空間収納プランナー。もちろん、その場合のメリット・デメリットもお伝えします。
収納の中でも使いやすい位置は決まっていますので、使う頻度などをお伺いし提案します。

――「断捨離」とは全く違うんですね

誤解されがちですが、すごく大事なことなんです。
ご本人が生活していて、「もう手放そうかな」というタイミングが、そのうちにやってきます。
そこまで導いて差し上げるというか、お客さまの暮らしに並走していくつもりでやっています。

――そこまでお客さまと向き合うのは大変そうですが、やりがいも大きいのでは

これからの毎日が変わっていくのを予感して、ワクワクするような。
お客さまの喜ぶ顔を見ると、「あー良かったな」という気持ちになります。
住む方の変化を感じられたり、こちらの提案がピタッと合致した時の喜びもありますね。

――仕事を進めるうえで、何を大切にしていますか?

住む方にとって心地よい空間であること、それを最優先に考えていますね。
収納って、モノをキレイに並べて整理することで、自己満足になってしまうことも多いんです。
こちらの自己満足を押し付けるのではなく、その人がどういう風に生活をするのかが一番なので。
日常こそが美しい空間となるように、並走してコンサルティングをしています。

――インテリアと収納の仕事を、今後どのように広げていきたいですか?

設計士や建築士の方などと一緒に仕事をして、家を建てる時やリノベーションにも関わっていくことができると思っています。
実際に収納が少ない間取りが多いので、設計の段階から収納視点でアドバイスを出していければ。

――施工者側の目が届きにくいモノの量なども踏まえて、細やかな設計が可能になりますね

インテリアにもこだわり、綿密な収納計画ができて、住む方が満足すること。
それによって、リフォームや家を演出してランクを高める「ホームステージング」にもつながっていくのではないかと思います。

モノを単純に捨てるのではなく、日常生活の中で本来あるべき場所に収め、快適な状態で使えるようにするという、住空間収納プランナーの仕事。
モノや家具の一つひとつに、意味や物語があると考えれば、それぞれを大切にしたいと思い、暮らしも豊かになるのではないでしょうか。
後編は、鈴木さんが“収納”と“インテリア”の両方を手掛けるまでの経緯や、理想の空間などを伺っていきます。

プロフィール

suzukuri 鈴木アラブギャリ君枝
インテリア業界で約20年の経験を積み、ロイズアンティークスやワイス・ワイスでインテリアコーディネーターとして顧客と接してきた。
インテリア・収納の双方の視点で快適な住まいづくりをサポートしようと、2012年に住空間収納プランナーとして「suzukuri」を起業。

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