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2017-05-11

タイニーハウスには、未来へのヒント
東京R不動産 ディレクター・林厚見

SAHRE on

東京R不動産 ディレクター
林 厚見(ハヤシ・アツミ)

1971年東京都生まれ。株式会社スピーク共同代表。不動産セレクトサイト「東京R不動産」ディレクター。東京大学大学院、コロンビア大学建築大学院不動産開発科修了。経営戦略コンサルティング会社マッキンゼー&カンパニー、国内の不動産ディヴェロッパーを経て、2004年より現職。現在は「東京R不動産」「R不動産toolbox」のマネジメントのほか、不動産や地域の開発・再生プロデュースを行う。共編著書に『東京R不動産2』『toolbox 家を編集するために』など。
http://www.realtokyoestate.co.jp/

来る2017年5月19日(金)に、 “身の丈の暮らし”をテーマにしたロードムービー『simplife』の上映会が東京・下北沢ケージにて行われます。オープンスペースでの新しい音と映像の楽しみ方として、ヘッドフォンを使った全国でも珍しい“サイレント映画上映会”です。

上映後には、全国各地でツリーハウスやタイニーハウスを手がけるTree Heads&co.の竹内友一さんと、東京R不動産のディレクター・林厚見さんが登壇するトークセッションも行われます。
そこで、今回は林厚見さんに単独インタビューを実施。ライフスタイルや、話題のタイニーハウスについてお話を伺いました。

生活に“ワクワク”を取り入れる

――林さんは、住む場所を定期的に変えているそうですね

割りと飽きっぽいところがあって、最近でも目黒や武蔵小山、三軒茶屋など、2 年おきぐらい に引っ越しています。

――現在は三軒茶屋にお住まいだそうですが、選ばれた理由は?

小学校から大学の途中まで、駒沢から三軒茶屋のあたりに住んでいたのもあって、この街が落ち着くというのもあります。だけど一番は“街っぽさ”を感じるからです。見つけた物件の庭が気に入ったというのもありますが。

――林さんにとって“街っぽさ”というのは?

ゆるくて、小さな楽しい場所が多くて、そこそこ便利。住むという行為が、なんとなくフィットするところですね。

――小さな楽しい場所というのは、例えば商店街とかでしょうか

そうですね。とにかく寄り道をしたい人なんです。そのために選択肢が多い場所がいいなと。

――帰り道に、寄り道する場所が多いのはワクワクしますね

ワクワクすることは、生活の中でとても重要なことだと思います。自分の場合は、10年前から運動をとり入れていますが、ただ走るだけだと、なんだか億劫に感じてしまう。だから、ジムにiPadを持ち込んで、後で読もうと思っていた記事を開きながら走っています。そうすると、疲れも感じないうちに結構な距離を走れるんです。運動も、ただの義務じゃなくて、読みたかった記事を読むための行為に変えることで、ちょっとテンションが上がる。こうして、生活にワクワクを取り入れることで日々の充実感が高まっていくと思っています。

若い世代から、価値観に変化

――林さんがディレクターをつとめる、東京R不動産は、まさにライフスタイルを提案するプロというイメージですよね?

どうなんでしょう。一般的に見ればR 不動産の利用者は、こだわりのライフスタイルを実践している人の部類に入るかもしれません。だけど、ライフスタイルどうこうといった、言葉やかたちから入る人はむしろ少ない感じがします。

――仰るように、サイトを拝見していると、建物からの提案というよりは、住む人に委ねる物件が多い印象ではありますね

利用者の中には、ファッション業界の方が結構いらっしゃるんですが、業界の中でもパタンナーやデザイナーといった、モノをつくる側の人が比率的に多いと思います。彼らは、デザイナーズマンションみたいなものは選ばず、むしろ自分で空間をデザインしたいと思っちゃうんですね。だから、ヌケ感があって心地がよいとか、そういった空気感を重要視する傾向にあります。

――東京R不動産では、ヴィンテージマンションやリノベーション物件を多く取り扱っていますが、巷でブームになっていることは、林さん的にやっと世間が追いついてきたかという感じでしょうか?

15年前には、ここまで広がるとは思っていませんでした。最近の30前後の若いITベンチャー の方たちと話すと、こっち(ヴィンテージ系)の価値観になってきていて、僕らの世代や上の世代だとIT系の事業家などはヒルズのような高層マンションが憧れという人が多かったのでしょうが、若い人を中心に価値観が変化してきたんだなと思います。
女性も、新築物件を好む傾向は一般的に強いとはいえ、10年前ぐらいからレトロな物件やリノベ物件を見て「カフェっぽい」とか「おしゃれ」といったイメージを持つようになって、天井をはがして配管が出ていても、むしろ素敵だと感じてもらえるようになった。全体的に流れが変わったなと思いますね。

ブームではなく、未来へのヒントに

――時代の変化という意味では、今回のイベントにも登場する「タイニーハウス」も、時代の変化によって登場したブームですよね

実は「小屋」というのは、今だけのブームというより、昔からみんな好きだったのではないかと思います。

――ここ最近だけのブームではないと

人間の建築的欲望には、”塔を建てたい”といったものと並んで、“小さな小屋を持ちたい”というのがずっとあるんだと思うんです。近代建築の巨匠 ル・コルビュジエも、あれだけ近代的な建物を手がけてきて、最後は「カップ・マルタンの休暇小屋」という茶室みたいな小さな小屋を、終の棲家に選んだほどです。

――人間の根底にそういったシンプルな暮らしへの欲求が常にあると?

人間は、とにかく巣を作りたい生き物です。自分のモノとして持ちたいという占有感があるんですよ。そして権力の象徴は、ピラミッドや城になった。だけど、今のシンプルライフといった、ライフスタイルの価値観の流れに沿うと、タイニーハウスが憧れられることになったのかなと。

――リーマンショックや震災といった要因が、そこに繋がったという人もいらっしゃいますよね

それをブームのきっかけに挙げる人もいますが、あくまでもひとつの要素でしかないと思います。時代とともに、人々の価値観が変わってきたことが一番大きいでしょう。単に流行りというよりは、もっと深いものだと思っています。

――流行以前に、人間の根底に関わる話だと?

日本では、今シェアハウスが増えていますよね。ひとりひとりの空間はプライバシーを保ちつつも、コミュニティの楽しさもある。街の単位で考えても、大家族という形が解体されて、ひとつひとつは小さなタイニーな空間になっていっている。今までは3LDKがあるべき姿だったけど、今はそうではなくなったわけです。逆に今までの日本が中途半端だったのかなと。
例えば音楽フェスの構造に目を向けると、とてもわかりやすいと思います。会場全体はみんなで共有して、それぞれの寝床は小さなテントです。“自由”を得たいと思ったら、むしろ大きい空間を持とうとせずに小さくていいと思うことが理にかなっているともいえるのではないでしょうか。

タイニーハウスについては、ただ一過性のブームではなく、集まって楽しむ場所は大きく、そしてそれぞれの所有は小さくという、今後のライフスタイルを考える上での重要なヒントだと思っています。イベントでも、そういったお話ができればいいなと思います。

下北沢にタイニーハウスがやってくる!

5月19日(金)に開催される『simplife』上映会の会場には、現在全国キャラバン中のタイニーハウスも来場。会期中、どなたでも自由に中を見ることができます。上映時間まで製作者の竹内友一さんが、タイニーハウスをご案内します。(タイニーハウス見学はチケット購入不要)

「身の丈の暮らし」をテーマにしたロードムービー『simplife』は、アメリカ西海岸で広がりを見せる「タイニーハウス・ムーブメント」のパイオニアたちを訪ね、小さな暮らしや多様なライフスタイル、コミュニティとの共生など、新しい幸せのカタチをさがした作品です。

上映後は今回インタビューに応じてくださった、東京R不動産ディレクターの林さんと、全国各地でツリーハウスやタイニーハウスを手がけている竹内さんによるトークセッションも行われます。

映画『simplife』
開催日: 2017年5月19日(金)
会場:下北沢ケージ(東京都世田谷区北沢2-6-2 京王井の頭線高架下)
チケット: スクリーンA ¥2,000(ワンドリンク込/自由席)
スクリーンB ¥1,500(要ワンドリンク+ワンフードのオーダー/テーブル席)
チケット購入(Peatix)
http://simplife.peatix.com/

主催: (株)空間社
PRパートナー: HowScope

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