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2018-05-17

水と緑と歴史に囲まれた「深大寺」を歩く

SAHRE on

京王線調布駅からバスに揺られること約15分のところにある深大寺は水の神である「深沙大王(じんじゃだいおう)」をまつる天台宗の寺として奈良時代の天平5年(733年)に開創した関東屈指の古刹だ。

境内を囲むように寺の周りには豊富な湧き水が流れ、さながら京都にいるかのような街並みが国内外からの観光客に高い人気を得ている。

名物「深大寺そば」をはじめとした食べ歩き

参道には深大寺そばを提供する店が多く連なり、人気店は行列ができるほどの賑わいを見せている。

その昔、深大寺の北にある武蔵野台地は水に乏しく稲作に向かないため、農民が蕎麦を作り、米の代わりにそば粉を寺に納めて来客をもてなしたのが「深大寺そば」のはじまりと言われている。

深大寺の門前にある文久年間創業の老舗「元祖 嶋田家」も古くから深大寺そばが食べられるそば処だ。店の前には釈迦の弟子「羅漢」のコミカルな石像が迎えてくれる。

4種類の天ぷらと深大寺そばが味わえる天ざる(1,350円)は人気の一品。

以前は地粉を使っていたが、現在はそれに近い青森産のそば粉を石臼で挽いて作っているという深大寺そばは、コシの強さと喉越しの良さが特徴的だ。

参道沿いの茶屋では他にも甘酒やみたらしだんご、そばまんじゅう、そば粉を使った「そばぱん」などが人気で食べ歩きには事欠かない。

製粉所を兼ねているそば処「一休庵」は大きな水車が目印。

提灯が印象的なそば処「青木屋」など、様々な店構えは見ているだけでも楽しい。

梵鐘が朝昼晩の時を知らせる深大寺

深大寺の山門が見えてきた。ケヤキで造られた茅葺き屋根のこの山門は300年以上前の元禄8年(1695)に造られ、慶応元年(1865年)の大火から免れた境内で一番古い山門だ。

山門を抜けると右手に現れる鐘楼には、かつて南北朝時代からおよそ600年以上前に鋳造された都内で3番目に古い梵鐘(国の重要文化財)があった。平成になって、ヒビがみつかり鐘楼から釈迦堂に安置され、現在は平成12年(2000年)に新鋳した梵鐘が朝昼晩の時を知らせている。

本堂は慶応の大火で焼失後、大正5年に再建されたもの。入母屋造りのこちらの本堂には宝冠阿弥陀如来像が安置されている。

本堂の隣には鯉が優雅に泳ぐ五大尊池があり、その近くには4月末から5月初めに白い花を咲かせる「なんじゃもんじゃの木」が観光客を楽しませている。

本堂の左手の階段を登ると見えてくるのは元三大師堂。江戸時代には深大寺の信仰の中心として多くの人に慕われていたというこちらのお堂は厄除け大師とも呼ばれている。

深大寺の由来となる水神の深沙大王は縁結び・良縁成就のお寺として、元三大師堂は厄除けとして人気が高い深大寺。絵馬には多くの願いが掲げてあった。

日本三大だるま市の一つ「深大寺だるま市」

元三大師堂の左手には開山堂へ続く階段がある。

階段を登ると見えてくるのが開山堂だ。

昭和58年(1983年)に深大寺開創1250年記念事業として新築された奈良時代様式のこちらのお堂は深大寺の隆盛にちなんで出世開運のご利益があると言われている。

開山堂の横には賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)と呼ばれる木像が安置されている。自分の病んでいるところを撫でると良くなると言われており、参拝客からも人気だ。

その反対側には大きな願掛けだるまが安置してあった。
深大寺では毎年3月3日と4日の2日間、群馬県高崎市の高崎だるま市、静岡県富士市の毘沙門天大祭だるま市と並ぶ「日本三大だるま市」の一つとして「深大寺だるま市」が開催される。

だるまの左目には物ごとのはじまりとする「阿」の梵字を入れ、願いが叶っただるまには物ごとが終わりを意味する「吽」の梵字を入れてお寺に納める。開催期間中は特設の「だるま開眼所」が設けられ、多くの人で賑わう。

国宝に指定された東日本最古の釈迦如来像

深大寺の西門を出て少し歩くと延命観音が見えてくる。ここには慈覚大師が刻んだと言われる延命観音の大石が奉られている。

延命観音から少し行くと深大寺の由来となった深沙大王堂が見えてくる。江戸時代まではここが深大寺の総鎮守として元三大師堂と同じく参詣の人が絶えなかったそうだ。

深沙大王堂の参道には七福神の恵比寿尊と大黒天が並んで鎮座している。

深大寺にはこの他にも平成29年に国宝に指定された東日本最古の釈迦如来像(白鳳仏)など、貴重な仏像や神社仏閣が数多く存在する見所が多いエリアだ。

水と緑に囲まれる武蔵野の原風景

深大寺に来たなら訪れたいのは北門からすぐのところにある都立神代植物公園だ。広さ46万平方メートルもの広大な敷地のこちらの植物公園では、神代曙というオリジナルの桜や12,000株のつつじをはじめ約4,500種類、10万株の植物を見ることができる。

冬の季節なら2016年にリニューアルされた大温室がおすすめ。熱帯・亜熱帯地方原産の色あざやかな花が年間を通して見ることができる。

こちらのベゴニア室ではバラやカーネーションに似た華やかな花を咲かせる球根ベゴニアやそれらの元になった原種が展示されている。

熱帯スイレン室では可憐な熱帯スイレンの花々やハイビスカス、数年に一度咲くというスマトラ島原産のショクダイオオコンニャクも展示されている。

深大寺は水と緑に囲まれて、古くから多くの人々が暮らしてきた。時を経て現在は由緒ある神社仏閣と共に、四季折々の花々や野鳥がいる植物公園が武蔵野の原風景を今に伝えている。

(取材・写真 中川マナブ)

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