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2017-01-25

新築をセルフリノベーションしてつくるワークスペース
~コモリ家 第2幕 ワークスペース編~

SAHRE on




コモリ夫妻 コモリケイ

コピーライター/クリエイティブディレクターとして勤務する傍ら、イラストレーター/手芸家である奥様・ケイコ氏と、ものづくりユニット・コモリ夫妻を結成。都心で力の抜けたものづくりライフを楽しんでいる。

DIYerでもあるケイさんに前回は子育ての中のDIYについてお話しいただきましたが、今回はお二人の創作活動を支えるワークスペースを見せてもらいました。

進化し続ける家

――今のお住まいはいつ頃建てられたんですか?

3年半ほど前に。もともとは古い家を買って自分たち好みにリノベするつもりだったんですが、良い物件がなく、新築して、後から自分たちで手を入れていくことにしたんです。その方が耐震強度や水回りの問題も心配ないし、間取りも外観も自由にできるってことで、妻と二人でデザインした図面を工務店さんに渡して、建ててもらいました。
その後、計画通りDIYでカスタマイズしていって、今に至ります。

――家をデザインされるとき、ワークスペースに関してはどんなことを意識されましたか?

ワークスペースに関しては最初に決めていたことが1つあって。「ぜったい個室にしないこと」というルールを設けていました。モノづくりって、一人の世界に入るものだし、それが醍醐味でもあるんですが、家族の輪も大切にできるようにしたいねって妻と話していたんです。
集中できて、なおかつコミュニケーションも取りやすいかたちをあれこれ考えた結果、オープンスペースを1枚の壁でゆったり仕切ったこの間取りになりました。


お二人のワークスペースは、1枚の壁を挟んで向き合う独特のレイアウト

自分をリセットできる部屋

――向かって左側がケイさんの部屋ですね。この机も手作りされたものみたいですが、こだわりのポイントは?

白木を廃材風に加工した天板に、スチールラックのアングルで作った金属脚を合わせたところです。狭い空間なので足元に圧迫感が出ないよう、金属脚にしようと思っていたのですけれど、細身のアイアンだと浮いちゃいそうだったので、近代的なデザインをハズしに入れてバランスを取りました。


DIYされたパネルにはケイさんが撮影した写真が


部屋の雰囲気をグッと引き締める露出配管

――壁の露出配管も印象的ですね。新築ではなかなか見かけません

これも自作です。延長コードを切って塩ビパイプの中を通しました。家を設計するときに、ちょっとコンセントの位置をミスってしまって…。背後の壁からデスク脇に延長コードを引いてくるのもつまらないので、子供の頃からなぜか憧れがあった露出配管にしてみました。上の滑り台窓もそうですが、この部屋は昔から「いつかこんな空間に住みたいな」と空想していたものを手作りしています。なにせ自分の部屋なので、我が家でいちばん好き勝手してますね。

――そんなご自身のお部屋について、どんな点が気に入っていますか?

素の自分に戻れるところですかね。ふだん会社勤めでものづくりをしているぼくとしては、どんなに仕事が好きでも、ビジネスモードの自分を家庭に持ち込みたくないという想いがあります。この部屋で自分の作った好きなものに囲まれていると、素の自分にさっと戻ることができる。ここは家族との時間や趣味の創作活動に打ち込めるようになるための、リセット装置みたいなものなんです。

道具の住所が決まった機能性あふれるケイコさんの部屋

――奥さんの部屋は、飾り棚を使ったショップ風のインテリアですね。ここは奥さんと話し合いながらこの形にしていったのですか?

そうですね。何回か打合せをして、「こっちに作業台にもなるシェルフが欲しいな…」「ここに4段の棚を作って」といった妻の声をかたちにしていった感じです。
妻がこだわったのは、とにかく道具の“住所”がハッキリしている空間を作ることでした。モノの住所を決める、というのは散らからない部屋づくりの鉄則と言われていますが、妻の場合、ここでイラストの仕事と編み物・刺繍を行うため、「思い立ったらすぐ絵の資料やミシンやプリンタにアクセスできるようにしたかった」というのもあります。

ウォールシェルフの“見せる収納”にすれば、どこに何があるか一目瞭然だし、取り出しやすくしまいやすい。レイアウトを自由に決められるから、使いながらモノの居場所や導線を改善していきやすい。おまけに「趣味で集めた民芸品もディスプレイできるじゃん」ということで、この棚を作りました。この部屋は、行きつけの古道具屋で買った机や引き出しとの相性も考えて、ぼくの部屋とは対照的な明るい色で統一しています。


棚の上にはケイコさんが趣味で集めた民芸品も並ぶ

――奥さんの部屋の施工で苦労されたことはありますか?

意外とこのウォールシェルフが大変でした。簡単そうに見えて、実際やってみると、見た目のバランスを保ちつつ、下地のあるところに棚をビス留めするのは苦労しました。今思うとボードアンカー(下地のない場所でもビスが効くようにする特殊なネジ)を使えば良かったなと…。

ワークスペースへと続くアプローチにもこだわり

――リビングからワークスペース階へ続く階段にも、アトリエに向かうアプローチとしてのこだわりを感じます。ここはどんなコンセプトで空間作りをされたんですか?

実はここの吹き抜けが、ぼくたち夫婦が家をデザインするときにいちばんやりたかった部分です。空間デザインとしてもそうですし、「創作活動と家族の共栄」という、この家のテーマを体現しているという意味でも。
家族にとって生活の場である2階のリビングと、それぞれの作業部屋とを繋ぐ場所として、階段を上っていくごとに空気感が変わっていく…という感じを意識しています。
階段を上りきる手前には、照明位置に合わせ、妻が描いてくれた家族三人の肖像画を、ひび割れ塗装した額に入れて飾っています。仕事に入るときも家族のことを忘れないように。


自作の照明と流木で作ったオブジェが並ぶ階段。梁の上の緑も目を引く

――最後に、DIYで空間づくりをすることの醍醐味を教えて下さい

ワークスペースを、家を、もっと愛せるようになることかな、と思います。DIYって、家に血を通わせていく行為だと思うんです。最初は赤の他人みたいだった家が、手を入れていくと血の繋がった家族のようになっていく。手料理を食べていると、自ずと食卓がほっこりしてくるように、手作りのものが増えていくと、日々の暮らしのすみずみにまで温かな血が通っていくような感覚がします。ワークスペースだけでなく、自分で作った家具や内装、妻の作った服や絵・・・家じゅうが手作りのもので満たされたとき、ようやくこのコモリ家という家は完成するのかな…なんて思っています。

photograph: Kei Komori
コモリ夫妻 http://komorifusai.blogspot.jp/


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